平成20年度秋期テクニカルエンジニア(ネットワーク)午後I 問2

ネットワークスペシャリスト試験
この記事は約4分で読めます。

今日は、平成20年度秋期テクニカルエンジニア(ネットワーク)午後I 問2を解こうと思います。

問題文および模範解答(解答のみ、解説はありません)は下のリンクからどうぞ。
※IPAのサイトで公開されているPDFにリンクしています

問題文はこちら】【模範解答はこちら

各問解説

設問1

最小限必要な台数が n 台なので、それより多くしないと1台でも故障したら正常な動作を保てなくなります。設備故障の確率を0にできないので、 n 台より多い設備を用意して、いずれかの設備が故障しても致命的な障害が発生しないようにします。

何台分の冗長性を確保するかは1台あたりの故障確率と要求されるシステムの稼働率から計算するのですが(何台増設しようと稼働率を100%にはできません)、この問題ではそういった数値の指定が一切無いので、n+1台でいいでしょう。

情報セキュリティを管理するための枠組みを情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)といいます。ISMSの評価基準はISO/IEC 27001として標準化されており、企業等の組織のISMSがこの要求事項を満たしていることを日本情報処理開発協会(JIPDEC)が認めたとき、ISMS認証が与えられます。ISMS認証を取得した企業は、情報セキュリティ管理について一定以上の水準に達しているという信頼を得ることが出来ます。

SAN(Storage Area Network)の通信をIP上で行うためのプロトコルにはFCIPやiFCPがあります。

SCSIのプロトコルをTCP/IP上上で使用するための規格としてiSCSIがあります。

同期式ではリモートストレージの更新が終わるまでサーバに対する更新完了報告を待つので、1件の処理にかかる時間が多くなります。よって非同期の処理に較べてサーバのスループットが低下します。

1本の光ファイバで異なる波長の光を複数使用することで通信を多重化する方式をWDMWavelength Division Multiplexing波長多重)といいます。

設問2

(1)

⑤の『リモートストレージからの書き込み完了通知』をうけてローカルストレージからサーバに対してメッセージが送信されているのですから、『ローカルストレージからの書き込み完了通知』『サーバへの書き込み完了通知』などとすればよいでしょう。

(2)

ローカルストレージがサーバからの更新命令を受け取ってから更新が完了するまでの時間は、

非同期の場合は処理は②だけなので必要な処理時間は \(\mathrm{T}_1\)

同期の場合はローカルストレージへの書き込み処理②とリモートストレージへの書き込み命令③は同時に行われるので、必要な処理時間は③+④+⑤= \(\mathrm{T}_2+\mathrm{T}_1+\mathrm{T}_3\)

となります。よって差は \(\mathrm{T}_2+\mathrm{T}_3\) です。

(3)

\(6\times 10^2\)kmの距離を\(3\times10^5\)km/sの速度で伝送されるので、所要時間は

\( (6\times 10^2)/(3\times10^5)=2\times 10^{-3}\)秒=2 ミリ秒

となります。

設問3

『障害発生時には、破線で示す使われていなかったリングを使って再構成する』とありますので、ノードAとノードBの間で障害が発生した場合は下記のようになります。

設問4

(1)

RPO(Recovery Point Objective)とは障害発生時に『過去のどの時点までのデータを復旧できるか』を表します。たとえば『1日1回バックアップ』のシステムでは、ワーストケースで障害発生時の24時間前までさかのぼったデータを復旧できるので、『RPO=24時間』と表します。

このシステムでは、同期式のコピーにより『更新完了したデータは確実にリモートストレージにも書き込まれている』ので、障害発生直前までのデータが復旧可能です。よってRPOは0を想定しています。

(2)

第一段階ではバックアップサイトにはリモートストレージが設置されているだけで、サーバなど販売システムが稼働できるような設備がありません。また、通信回線もストレージ間の接続のみで、インターネットに接続されていないと思われます。よって、バックアップサイトでシステムを稼働させるには、新たに機器や通信回線の調達が必要となります。

(3)

バックアップサイトに設置されたサーバは本来の販売システムのサーバとは異なるIPアドレスが割り振られているはずですが、利用者が同じようにシステムを利用できるるためには、バックアップサイトに切り替え後も同じURLでアクセスできるようにする必要があります。そのため、切り替え時にDNSの設定を変更します。

感想

ストレージの通信プロトコル、計算問題、一部データベースの知識が必要など、『ネットワーク』の問題としては難しめだと思います。IPAが公開している講評でも正答率が低かったとあります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました