今日は、平成22年度秋期ネットワークスペシャリスト午後I 問2を解こうと思います。
問題文および模範解答(解答のみ、解説はありません)は下のリンクからどうぞ。
※IPAのサイトで公開されているPDFにリンクしています
各問解説
設問1
設問1で問われている言葉は、知っていれば即答・知らないとどうしようもありません。
ア
『独立した複数のトラフィックを一つの伝送路に多重化する』方法はいくつか考えられますが、『帯域を効率よく共用できる』ことを『〇〇多重効果』とよぶのは、 統計多重効果です。
イ
映像の符号化および復号装置・ソフトウェアを表す言葉はコーデックです。動画のコーデックとして有名なものには MPEG や DivX や H.264 などがあります。
ウ
SNMP(=Simple Network Management Protocol)とはネットワーク機器を遠隔で管理するためのプロトコルです。SNMPマネージャとはその管理のために用いられる装置・ソフトウェアのことで、管理対象となる機器にインストールされるソフトウェアのことをSNMPエージェントといいます。[ ウ ]ではSNMPマネージャの通信相手について訪ねられているので、(SNMP)エージェントとなります。
エ
SNMPで用いる、機器の状態に関する情報オブジェクトをMIB(Management Information Base)といいます。
オ
複数のデータを、入力された順に出力するやり方を FIFO(First IN First OUT)といいます。
設問2
(1)
仙台拠点のTCが必要とする通信帯域は、
PC1台あたり 20 kb/s × 40 台 = 800 kb/s
となります。
伝送効率 0.8 で 800 kb/s を確保する必要があるので、IP-VPNの帯域を a kb/s とすると、
a × 0.8 = 800 kb/s
∴ a = 1,000 kb/s
となります。
(2)
『伝送情報量の削減技術』としては、
・送信データそのものを圧縮する データ圧縮、
・前回のデータとの差分のみを送信する 差分伝送 (端末の画面では、画面全体が刻刻と書き換わることは少ない)
・最初に解像度が荒いなどデータ量の少ない画面を送信し、あとから詳細データを追加して画面を完成させる プログレッシブ符号化
などがあります。
また、『通信のバースト性の低減技術』としては、一定以上の帯域を使用しないようにする 帯域制御 を挙げればよいでしょう。
(3)
シンクライアントでは、すべてのデータ処理は仮想化SV上で行われています。よって、
従来は仙台拠点の各PCと本社内の各SVで行われていた通信は、
本社内の仮想化SVと各SV間で行われるようになります。
逆に、従来は仙台拠点の各PCと仙台拠点内の様々な機器との間で行われていた通信は、
本社内の仮想化SVと仙台拠点の機器との間で行われるようになります。
本文中からそれぞれに該当する通信を探すと、
従来は『拠点では(中略)常時、PCからプリンタへ印刷データを送信』していたものが、仙台拠点については『本社の仮想化SVから仙台拠点のプリンタへ送信』されることなります。
また、従来は『本社に設置されている業務管理サーバおよびファイル管理サーバには、全社のPCがアクセス』していたものが、仙台拠点については『仮想化SVが業務管理サーバやファイル管理サーバにアクセス』することになります。
よって、
新たに発生する通信として『仮想化SV(または仮想PC)と仙台拠点のプリンタ間の通信』
発生しなくなる通信として『仙台拠点のPCと業務管理SV(またはファイルSV)間の通信』
とすればよいでしょう。
設問3
(1)
ifInOctets や ifOutOctets の値・増分は『1分あたり何バイトか』を表しています。これを『1秒あたり何kビットか』に換算する必要があります。1バイト=8ビット、1000ビット=1kビットなので、
増分 × 8(バイト→ビット) ÷ 1000(ビット→kビット) ÷ 60(1分あたり→1秒あたり)
=増分 ÷ 7500
となります。
(2)
本社PCにSNMPマネージャ、RT2にSNMPエージェントがあるので、RT2のWAN側ポートで観測される通信には本来の通信の他にSNMPマネージャとSNMPエージェントの通信が含まれてしまいます。この影響を受けないためにLAN側で観測するのです。
(3)
ipInOctetsやipOutOctestは32ビット整数のカウンタで、上限値を超えると0に戻ってしまいます。これを桁あふれといいます。このとき、差分は見かけ上、負値となります。
(4)
優先制御の説明によると『入力パケットの量が出力パケットの量を超えると(中略)待ち行列の長さが上限に達すると、次の入力パケットを待ち行列に追加せずに破棄する』とあります。つまり優先パケットが増えてRTの処理能力・通信速度を超えると非優先パケットは破棄されてしまいます。
通信がTCPの場合、パケットが破棄されるとその度に再送されることになります。またTCPには輻輳制御のためのアルゴリズムが組み込まれており、再送の頻発により輻輳が発生していると検知すると、ウィンドウサイズを縮小して1度に送出するデータ量を減らします。これによってTCPの転送速度が低下するのです。
(5)
動画再生のために必要なIP-VPNの通信帯域は、
動画1つの再生に必要な通信帯域 × 拠点での動画の同時再生数
で求められます。
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