平成23年度秋期ネットワークスペシャリスト午後I 問2

ネットワークスペシャリスト試験
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今日は、平成23年度秋期ネットワークスペシャリスト午後I 問2を解こうと思います。

問題文および模範解答(解答のみ、解説はありません)は下のリンクからどうぞ。
※IPAのサイトで公開されているPDFにリンクしています

問題文はこちら】【模範解答はこちら

各問解説

設問1

(1)

デジタル署名とは、公開鍵暗号を利用した技術です。メッセージ(この場合はメールの本文など)のハッシュ値を求め、そのハッシュ値を署名者の非公開鍵で暗号化したものを署名としてメッセージに添付します。

署名を検証する場合は、署名を署名者の公開鍵で復号し、あらためてメッセージから求めたハッシュ値と一致するかどうかを確認します。これにより、署名者が正当なものであることと、内容の改竄が行われていないことが同時に証明されます。

この設問では『正サーバは、受信したメールにディジタル署名を付加し(中略)格納する(p.7)』とあり、格納されたメールについて署名者の正当性は問題になりません。よって、署名を付加する目的は『メールデータの改ざん防止のため』となります。

(2)

リカバリポイント目標(=Recovery Point Objective、RPO)とは、障害や災害にがあった場合に『どのくらい前までのデータを復旧できるか』の目標値を表しています。

表1をみると、もっとも保管のタイミングが遅いのは項目fの『複製プロセスの所要時間の上限』で、副サーバにメールの複製が保管されるまでに最大24時間かかることが判ります。

つまり、何らかの災害や障害によって正サーバが停止・破損してしまった場合でも、(副サーバが同時に被災しない限りは)24時間前までのデータならば復旧が可能です。

以上より、RTOは24時間となります。

設問2

(1)

下線部①にあるM/M/1とは待ち行列理論の用語で、

1つの窓口(サーバ)が処理をする待ち行列で、
待ち行列に到着する客(要求)がポアソン過程にしたがい、
窓口がこれを処理するのにかかる時間が指数分布に従う

ものを表しています。ポアソン過程とは要するにランダムに発生するということです。

よって、この問題における到着条件は、『メールがランダムに到着する』となります。

(2)

表1より最頻時のメール到着件数は 36,000件/時 とありますので、1秒あたりの平均処理要求(\(\lambda\))は、

1時間あたり 36,000 件 ÷ 3600 秒 = 10 件/秒

となります。

単位時間の平均処理数(\(\mu\))は、表1の項目eに書いてあるとおり、12.5 件/秒 です。

利用率(\(\rho\))は、平均処理要求(\(\lambda\))/平均処理数(\(\mu\))で表されます。よって、

\(\displaystyle\frac{\lambda}{\mu}=\frac{10}{12.5}\) = 0.8

となります。

このとき、待ち行列の長さは、\(\rho\)/\((1-\rho)\)で表されるので、

\(\displaystyle\frac{0.8}{1-0.8}=4.0\)

となり、問題文の記述と一致します。

1秒あたりの処理能力が12.5件なので、1件あたりの平均処理時間は 1/12.5=0.08秒 となります。
ウの計算より、待ち行列の平均の長さは4.0なので、平均待ち時間は

0.08 秒 × 4.0 = 0.32

となります。

設問3

(1)

転送が必要なデータ量は

189,000 件/日 × 12.5×10\({}^3\) バイト/件 = 2,362,500,000 バイト/日

単位をバイト/日からMビット/日に変換して、

2,362,500,000 × 8 = 18,900,000,000 ビット/日 = 18,900 Mビット/日

となります。これを転送効率50%で24時間以内に転送しなければなりません。

必要な回線速度を \(x\) Mビット/秒とすると、転送効率50%(0.5倍)、1日は24×3600秒であることに注意して、

\(x\) × 0.5 × 24 × 3600 = 18,900

∴ \(x\) = 0.4375 Mビット/秒

となります。小数第3位を四捨五入して小数第2位まで求めよ、という指定なので、解答は 0.44 Mビット/秒 となります。

(2)

図3をよく見て考えます。

オ、カ

図3上段を見ると、9:00~10:00にID 13のメール群が到着しています。図3下段でID 13のメール群が処理された時刻を探すと、 13 :00~ 14 :00に転送されていることが判ります。

9:00~10:00に到着したメールが13:00~14:00に転送されたので、図2にある『処理待ち』および『副サーバへの転送』には 4 時間かかったことが判ります。

なお、『複製プロセス』には『転送』のあとに『副サーバへの格納』の時間が必要ですが、副サーバの格納に関する性能が正サーバと同じとすると、1群あたり4500件のメールに対してサーバの処理能力が12.5件/秒なので、4500÷ 12.5=360秒となり、転送までにかかる時間に較べれば充分に小さい値です。解答欄も『約 [ キ ] 時間』となっているので、無視して良い、ということなのではないかと思います。

ク、ケ

図3の上段と下段を見比べて、もっとも遅れているメール群を探すと、ID 42 のメール群が到着19:00~20:00に対して転送04:00~0500となっており、所要時間が約 9 時間となっていることが判ります。

(3)

現在0.5Mビット/秒の帯域で1時間あたり9,000件のメールを転送できているので、帯域が1.5Mビット/秒となれば1時間あたり27,000件のメールを転送できるようになると考えられます。

図3上段を見ると、1時間あたり27,000件を超えるメールが到着しているのは9:00~10:00の1時間だけで、ID 12とID 13のメール群が同時間帯に転送できないことになります。しかし次の時間帯である10:00~11:00は到着件数が18,000まで減少するので、ID 12とID 13をあわせてもすべてのメールを10:00~11:00に転送することができます。11:00以降は1時間あたり27,000件を超えるメールが到着することがないので、すべて同時間帯に転送することができます。

よって、ID 12 と ID 13 がもっとも複製プロセスに時間がかかることになり、最大遅延時間は 1 時間となります。

根拠を50文字以内にまとめて『到着件数が転送可能件数を上回るのはピーク時間帯だけで,次の時
間帯には滞留が解消するため
』となります。

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