MathJax-LaTeXでの数式の記述法(極限・微分・積分)

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極限

文字・記号・基本式

表示記述解説
\[a\to 0\]a \to 0『→』は \to コマンドで記述します。
\[\infty\]\infty無限大を表す記号は \infty です。\infinity ではないので注意して下さい。
\[\lim\]\lim単に lim と記述すると斜体で表示されてしまうので、\lim を使用します
\[\lim_{a\to 0}\]\lim_{a\to 0}\(\lim\) の基本形です。
\[\varlimsup_{a\to\infty}
\]
\varlimsup_{a\to\infty} *上極限を表す上線のついた記号は \varlimsup です。
\[\limsup_{a\to\infty}
\]
\limsup_{a\to\infty}
上極限を表す lim sup は \limsup です。
\[\varliminf_{a\to\infty}
\]
\varliminf_{a\to\infty} *下極限を表す下線のついた記号は \varliminf です。
\[\liminf_{a\to\infty}
\]
\liminf_{a\to\infty}下極限を表す lim inf は \liminf です。
コマンドの組み合わせで表示する記号
表示記述解説
\[\lim_{x\to 0 \\ y\to 0}f(x,y)\]\lim_{x\to 0 \\ y\to 0}f(x,y)複数の変数の極限を表現するには、改行を表す\\を使用します。
\[\overline{\lim_{x\to\infty}}\]\overline{\lim_{x\to\infty}}\varlimsup を使用できない場合は \overline で代用できます。
\[\underset{x\to\infty}{\underline{\lim}}\]\underset{x\to\infty}{\underline{\lim}}}\varliminf を使用できない場合は \underline と \underset の組み合わせで代用できます。

記述例

極限の公式

ごく基本的な記述例です。

\lim_{x\to 0}\frac{\sin x}{x}=1

\[
\lim_{x\to 0}\frac{\sin x}{x}=1
\]

全微分可能性

全微分可能性の条件式です。数学の授業で習う時期はまったく違いますが、LaTeX文法上のテクニックとしては前の例とあまり変わりません。
\(\lim\) の中の式は全体としては普通の分数と同じ \frac で、二重の縦線 \(\|\) は \| で記述します。

\lim_{h\to 0}\frac{\|F(p+h)-F(p)-F'(h)\|}{\|h\|}=0

\[
\lim_{h\to 0}\frac{\|F(p+h)-F(p)-F'(h)\|}{\|h\|}=0
\]

微分

文字・記号・基本式

表示記述解説
\[f'(x)\]f'(x) または f^\prime(x)導関数の一般的な記述法(ラグランジュ記法)は、表示のままf'(x)と記述します。\prime は『 ’ 』を表示するコマンドです。
\[f^{\prime\prime}(x)\]f^{\prime\prime}(x)MathJaxでは f” と記述すると引用符と解釈されてしまうので、\prime を2つ上付きで記述します。
\[f^{(n)}(x)\]f^{(n)}(x)高階の微分は指数と同じ要領で記述すればよいでしょう。
\[\dot{f}(x)\]\dot{f}(x)関数名の上にドットを記す記述法(ニュートンの記法)は、物理学ではよく使われます。\dot を使用します。
\[\ddot{f}(x)\]\ddot{f}(x)ニュートン記法の2階微分は \ddot を使用します。
残念ながら3階以上の微分のコマンドはありません。
\[\frac{d}{dx}f(x)\]\frac{d}{dx}f(x)ライプニッツ記法の \(\frac{d}{dx}\) は普通の分数のように \frac コマンドで記述します。
\[\frac{d^2}{dx^2}\]\frac{d^2}{dx^2}ライプニッツ記法の2階微分の記述は、通常の分数の分子・分母に指数を付けるのと同じです。
\[\frac{d^n}{dx^n}\]\frac{d^n}{dx^n}3階以上の微分でも要領は同じです。
\[\frac{df}{dx}\]\frac{df}{dx}
\[\frac{\partial}{\partial x}\]\frac{\partial}{\partial x}偏微分に使う \(\partial\) は \partial コマンドで記述します。
\[
\left.
\frac{df}{dx}
\right|_{x=a}
\]
\left.
\frac{df}{dx}
\right|_{x=a}
\((x=a)\) における微分係数の記述例です。
\left~\right を使用して右側に縦線を引いています。

記述例

微分の公式

高校で習うもっとも基本的な微分の式です。\(\Delta\) はギリシャ文字の \Delta です。

\frac{d}{dx}f(x) 
=\lim_{\Delta x\to 0}\frac{f(x+\Delta x)-f(x)}{\Delta x}

\[
\frac{d}{dx}f(x)
= \lim_{\Delta x\to 0}\frac{f(x+\Delta x)-f(x)}{\Delta x}
\]

二階線形常微分方程式

二階線形常微分方程式の一般形です。LaTeXの記述としては分数の足し算とあまり変わりません。

\frac{d^2y(x)}{dx^2}+P(x)\frac{dy(x)}{dx}+Q(x)y=R(x)

\[
\frac{d^2y(x)}{dx^2}+P(x)\frac{dy(x)}{dx}+Q(x)y=R(x)
\]

テイラー展開

テイラー展開の一般形です。n階微分の f^{(n)} をいろいろな記号と組み合わせています。

\sum_{n=0}^\infty\frac{f^{(n)}(a)}{n!}(x-a)^n

\[
\sum_{n=0}^\infty\frac{f^{(n)}(a)}{n!}(x-a)^n
\]

偏微分

偏微分の式です。\(\partial\) は \partial で記述します。

\partial_\alpha f
=\frac{\partial^{|\alpha|}f}
{\partial x_1^{a_1}\partial x_2^{a_2}\cdots\partial x_2^{a_n}}

\[
\partial_\alpha f
=\frac{\partial^{|\alpha|}f}
{\partial x_1^{a_1}\partial x_2^{a_2}\cdots\partial x_2^{a_n}}
\]

積分

文字・記号・基本式

表示記述解説
\[\int f(x)dx\]\int f(x) dx最も基本的な積分の式です。積分記号には \int を使用します。\(dx\) はそのまま dx と記述します。
\[\int_{a}^{b}\]\int_{a}^{b}定積分の範囲は _ や ^ で記述します。一文字の場合は {} を省略して \int_a^b でも同じ結果になります。
\[\oint\]\oint周回積分の記号は \oint です。
\[\underset{\mathrm{T}}{\int}\]\underset{\mathrm{T}}{\int}積分記号の下に文字を入れる場合は \underset コマンドを使用します。
\[\iint \]\iint *重積分の記号は \iint です。
\[\iiint \]\iiint *三重積分の記号は \iiint です。
\[\iiiint \]\iiiint *四重積分の記号は \iiiint です。さすがに五重以上のコマンドはありません。
\[\idotsint\]\idotsint *多重積分の記号は \idotsint です。
コマンドの組み合わせで表示する記号
表示記述解説
\[\int\!\!\!\int \]\int\!\!\!\int\iint などが使えない環境では \int を重ねて記述します。単純に \int \int と記述すると隙間が空きすぎるので \! をいくつか入れて調節ます。
\[\int\cdots\int\]\int\cdots\int\idotsint が使えない環境では \int と \cdots を組み合わせるといいでしょう。

記述例

積分の基本公式

高校レベルの積分の基本公式です。
定積分の範囲を表すには \left~\right による角括弧と上付き文字 ^、下付き文字 _ を使用します。

\int_a^b x^n dx
=\left[\frac{x^{n+1}}{n+1}\right]_a^b

\[
\int_a^b x^n dx
=\left[\frac{x^{n+1}}{n+1}\right]_a^b
\]

重積分

\iint の使用例として、重積分の公式です。AMS-LaTeXが使えない環境ではエラーになります。

\(D:a_1\leq x\leq a_2, b_1\leq y \leq b_2\)について、
\[
\iint_D f(x,y)dxdy
=\int_{b_1}^{b_2}\left\{\int_{a_1}^{a_2}f(x,y)dx\right\}dy
\]

\(D=\{(x,y)|a_1\leq x\leq a_2, b_1\leq y \leq b_2\}\)について、
\[
\iint_D f(x,y)dxdy
=\int_{b_1}^{b_2}\left\{\int_{a_1}^{a_2}f(x,y)dx\right\}dy
\]

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